地域戦略ラボ

地域づくり・まちづくりに興味がある人、したい人のための学びのメディア

『イノベーションの空間論』という本を出版します。

2018年8月19日のこのブログでも書きましたが本を執筆しておりました。

 

think-region.hatenadiary.jp

 

それから1年5か月いろいろと紆余曲折があり、ようやく古今書院で3月末を目標に出版することが決まりました。

現在初校を校正しています。

 

本の内容は、前著『イノベーションの地域経済論』でも扱ったように、イノベーション経営学イノベーション・マネジメント論)と地理学からアプローチし、イノベーションの創出活動における空間性について考察しました。

イノベーションの創出には地域的偏在が見られるが、地域のみでイノベーションが作られるのではなく、地域は様々な活動の結節点であり、イノベーションの空間とは多層的な構造をしていることを示しています。

 

本の要約としては以下の通りです。
イノベーションと地域の関係を考える時、イノベーションのための地域と地域のためのイノベーションという2つの視点がある。

前者はイノベーションの拠点、後者は地域イノベーションの議論に通じる。

イノベーションとは知識の創造と連鎖であるので、イノベーションの創出においては知識創造を促進させるコンテクストが集中する場所という具体的な物理的空間が必要となる。

世界各地ではイノベーション創出のための知的集積拠点の整備が進められているが、日本のイノベーション政策も空間的視点が必要である。

 

章節構成としては

序章 イノベーションにおける空間とは 
1.なぜイノベーションにおいて空間性が問われるのか 
2.課題設定と研究の目的 
3.本書における空間に関連する用語の概念整理 
4.本書の視角 
5.本書の構成 
第Ⅰ部 理論編 
第1章 イノベーションと空間に関する理論 
1.イノベーションと知識創造 
2.イノベーションの組織論 
3.イノベーションの地理学 
第2章.地域イノベーションに関する理論と政策 
1.地域イノベーションの理論と背景 
2.地域における科学技術イノベーション政策 
第Ⅱ部 事例編(地域イノベーション) 
第3章 香川県における希少糖の実用化の展開 
1.はじめに 
2.希少糖の概要と研究開発 
3.産学官連携体制 
4.事業の成果 
5.希少糖の研究開発と知識連鎖 
6.地域経済への貢献 
7.希少糖の実用化における空間的考察 
8.おわりに 
第4章 青森県におけるプロテオグリカンの実用化の展開 
1.はじめに 
2.プロテオグリカン研究開発の経緯 
3.産学官連携体制 
4.事業成果 
5.プロテオグリカンの研究開発と知識連鎖 
6.地域経済への貢献 
7.プロテオグリカン実用化における空間的考察 
8.おわりに 
第5章 熊本県におけるマグネシウム合金の実用化の展開 
1.はじめに 
2.マグネシウム合金の技術的特性と製造 
3.熊本大学におけるマグネシウム合金の実用化の取組み 
4.KUMADAIマグネシウム合金の知識創造の特徴と課題 
5.KUMADAIマグネシウム合金実用化における空間的考察 
6.おわりに 
第6章 北陸地域における炭素繊維複合材料の実用化の展開 
1.はじめに 
2.炭素繊維複合材料の技術特性と産業動向 
3.北陸地域における炭素繊維複合材料開発の展開 
4.新産業創造のための制度展開とクラスターの変化 
5.炭素繊維複合材料の実用化における空間的考察 
6.おわりに 
第7章 地域イノベーションの展開に関する考察 
1.地域イノベーションの特徴 
2.地域イノベーションにおける学習と空間 
3.地域イノベーションの課題
第Ⅲ部 総括編 
第8章 オランダ・アイントホーフェンにおけるイノベーション空間の構築 
1.はじめに 
2.アイントホーフェンにおける都市再生の取組み 
3.企業戦略の変化と都市の変容 
4.アイントホーフェンにおけるイノベーションの空間 
5.おわりに 
第9章 イノベーションと空間 
1.イノベーションにおける学習と空間 
2.イノベーションにおける地域 
3.地域におけるイノベーション 
終章 イノベーション空間の創出に向けて 

 

大体230頁ほどの本になる予定です。

出版日・価格など未定ですが、具体的になりましたらお知らせいたします。