地域戦略ラボ

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研究・仕事

地域経済のレジリエンスって何?[解説]

“レジリエンス”という言葉を聞いたことがありますか?レジリエンスとは、回復力があるとか、抵抗力があるなどという意味で、最近では政策用語としても使われる言葉です。 欧米ではレジリエンスのある地域経済の構築を目指した取り組みが積極的に展開されてい…

イギリスの意欲的な (?) 地域政策が発表されました。

イギリスのジョンソン内閣は、イギリスのすべての地域をレベルアップさせるという 地域政策に関する意欲的な白書を2月2日に発表しました。 <目次> <本白書の内容> <イギリスをレベルアップさせる12のミッション(到達目標)> <イギリス(イングランド)…

地域でイノベーションを起こしやすい環境づくり:英国ニューカッスルの取組み

このブログでは、最近イノベーションハブについて紹介しましたが、地域イノベーションの空間づくりの実証研究としてイギリスのニューカッスルで行ったフィールド調査の結果をとおして具体的に見ていきたいと思います。 なお、本編は「イノベーション空間の整…

クラスター政策を見直してみませんか。

アメリカではクラスター政策が復活するらしいです。 米国のブルッキンズ研究所のレポート では、米国商務省経済開発局はコロナ禍の復興政策の一つとして、新たなクラスター政策BUILD BACK BETTER REGIONAL CHALLENGE(創造的復興のための地域の挑戦)を紹介…

地域イノベーションに関連するいろいろなコンセプト[研究メモ]

地域でイノベーションを創造する取組みが積極的に行われています。そのため、”地域イノベーション”という用語はいろいろな局面で議論されています。 以下の図は、地域イノベーションの議論における関連のコンセプトを挙げたものです。いくつかのカテゴリーに…

”地域イノベーション”に関する研究はどのような状況ですか?

地域イノベーションという言葉を最近聞きますか? 日本ではあまり地域でイノベーションが起きているようなことは聞きませんし、”地域イノベーション”に関する研究はどのような状況なのでしょうか? そこで、海外(英語論文)の研究状況はオランダにある国際…

平成30年間に製造業はどのように変化したか(産業分野編)

平成30年は失われた20年とも30年とも言われています。その中で、日本の強味であった製造業も競争力を喪失したと言われています。そこで、今回日本の製造業が30年間で具体的にどのように変化したかを見ていきたいと思います。 (データは経済産業省の工業統計…

平成30年間に製造業はどのように変化したか(都道府県編)

前回に引き続きまして、平成の30年間においての製造業の変化を都道府県別に見ていきます。 ①都道府県別の事業所数、従事者数、出荷額、付加価値額の変化 平成期における都道府県別の製造業の変化を見ると、事業所数は47都道府県すべてで減少しています。従…

地域活性化のためのイノベーション:ローカル企業と公設試による骨まで食べられる魚干物の開発

以前のブログ(および拙著『イノベーションの空間論』)で地域イノベーションを ①-A 技術基盤構築型地域イノベーション(ハイテク型)②-B 技術基盤構築型地域イノベーション(ローテク型)③リビングラボ型地域イノベーション④地域埋め込み型社会イノベーショ…

イギリスの地方自治における権限移譲とEU離脱

日本地理学会のE-journal GEOに拙稿「北東イングランドにおける権限移譲と地域の変容」が公開されました。 イギリス、特にイングランドの地方自治制度は保守党と労働党の政争の具にされることが多く、中央集権の中で、中央政府が地方自治体に対して権限を吸…

地域政策において場所性を考慮すること(場所基盤)の必要性

地域とは当然、千差万別であり、一つの政策がすべての地域に適用可能なわけではない(One size does not fit all)という議論は以前からされています。 特にこの考え方はイノベーション政策に顕著であり、地域のポテンシャルが違うので、政策もそれに合わせ…

『イノベーションの空間論』の出版にあたって

『イノベーションの空間論』はネットではもう発売になっておりますが、本の奥付では4月3日が発行日となっております。そこで拙著の出版に際し、執筆の動機、目的について以下に簡単に述べたいと思います。 21世紀において、国や地域が繁栄していくためには、…

『イノベーションの空間論』という本を出版します。

2018年8月19日のこのブログでも書きましたが本を執筆しておりました。 think-region.hatenadiary.jp それから1年5か月いろいろと紆余曲折があり、ようやく古今書院で3月末を目標に出版することが決まりました。 現在初校を校正しています。 本の内容は、前著…

学部のHPに研究紹介が掲載されました。

愛媛大学社会共創学部のHPに私の研究紹介が掲載されました。 私の研究領域は地域経済や産業集積ですが、地域の生態を”学習”という活動を通して分析しています。 地域の適応と変化には情報や知識を刷新することから生まれ、その情報や知識の刷新を学習と捉え…

場所をブランディングする

電通 abic project編の『プレイス・ブランディング』(2018)を読みました。 著者は”地域ブランド”は産品のイメージが強いため、場所自身をブランド化する取組みを”プレイス・ブランディング””を銘打って、新しいコンセプトとして展開しています。 私は「地…

呉市海事歴史科学館に行ってきました

呉市海事歴史科学館と言ってもピンとこない人も多いと思いますが、別名”大和ミュージアム””の方が馴染みが多いと思います。 宇宙戦艦ヤマトにも特にはまらなかったし、ミリタリー趣味でもなかったので、あまり行く気はなかったのですが、3連休だったので家族…

ローカル・イノベーションに関する論考が公表されました。

愛媛県の(株)キシモトという会社が骨軟化技術を活用して頭から骨までまるごと食べられる魚干物の開発を行いました。 その開発プロセスを産学官の組織間学習として捉えた論考「地域における組織間学習としてのローカル・イノベーション:(株)キシモト「ま…

『(仮称)イノベーションの空間と場所』という本を執筆しています。

今年の松山は酷暑で7月からずっと暑い日々が続いています。その中、この夏休みの私自身への宿題として『(仮称)イノベーションの空間と場所』という本を執筆しています。 文部科学省科学技術学術政策研究所在籍時に行っていた香川県の希少糖の実用化の取組…

産学連携学会でローカルイノベーションについて発表してきました。

山口県山口市の山口県教育会館で行われた産学連携学会に参加してきて、「ローカルイノベーションにおける組織間学習」について発表してきました。 愛媛県の水産加工会社が開発した骨までまるごと食べられる魚の干物「まるとっと」を事例にその開発における産…

地域イノベーションについて論考が掲載されました。

地域イノベーションについては、2017年1月6日の本ブログでも書きましたが、それらをまとめた本『キーワードで読む 経済地理学』が原書房より出版されました。 この本は経済地理学会の60周年を記念して出版されたものであり、40の項目を76名の執筆者により書…

北陸の炭素繊維複合材CFRPの取組みについて電子ジャーナルに公表しました。

石川県と福井県を中心として行われている炭素繊維複合材開発の取組みについて日本地理学会の電子ジャーナルE-Journal GEOに「北陸地域における炭素繊維複合材(CFRP)の実用化の取組みと政策展開」という題名で公表しました。 電子ジャーナルなので、誰でもア…

地方国立大学における国際ネットワークの形成

熊本大学におけるマグネシウム合金の研究開発を取り上げ、地域貢献を標榜する地方国立大学においても、世界的な研究を行い、国際的なネットワークを構築している事例を文部科学省科学技術・学術政策政策研究所の機関誌で紹介しました。 [概要] 地域の大学の…

これぞ沸騰都市 深圳

2008年度のNHKスペシャルで『沸騰都市』という番組をやっていましたが、その時は選ばれなかったですが、どんどん新しい超高層ビルが建設されている深圳こそがまさに”沸騰都市”でした。 下は深圳大学の図書館正面からの写真です。南西には”百度”のビルがあり…

デトロイトは復活できるのか?

8月にデトロイトに行ってきました。産業の盛衰と都市の変化について題材探しをしており、デトロイトは極端な例ですが産業と都市の関係を考えるには外せないケースです。 市の中心部のメイン通りです。トラムも南北に走り、とても明るい感じです。ソフトウェ…

アイントホーフェンのオープンイノベーションの取組みについて発表してきました。

本日、愛媛大学で中四国都市学会がありまして、昨秋調査しましたオランダのアイントホーフェンの事例を発表しました。 要旨は下記の通りです。将来的には論文にまとめられたらいいなと考えております。 【要旨】オランダのアインホーフェン市はかつて電機メ…

産学連携学会で南信州の事例を紹介してきました。

本日、宇都宮市で開催された産学連携学会で信州大学の松岡先生と行った「長野県南信地域製造業企業の技術開発における外部機関との連携状況」に関する調査結果を報告してきました。 内容は4月に「イノベーション・マネジメント研究」誌で公表されたものに多…

科学技術知をもとにしたイノベーション創出の試み

月刊『地理』6月号は「知識と文化が地域を変える」という特集です。そのなかの1点として、香川県の希少糖と福井県の金属3Dプリンターの開発の事例について執筆しました。 地方圏においては科学技術の振興自体が難しい中で、地域の企業や大学が中心となり新…

長野県南信地域での企業の技術開発に関する調査結果が公表されました。

信州大学経営大学院が発刊している「イノベーション・マネジメント研究」2016年 No.12 に信州大学の松岡浩仁准教授との共同研究「長野県南信地域における企業の技術開発に関するアンケート調査結果」が公表されました。 今回の調査は、長野県の南信地域(諏…

「地域における学習概念の再考」という論文が公表されました。

地域活性学会の学会誌『地域活性研究Vol.8』に論文「地域における学習概念の再考」が掲載されました。 地域活性化のために、地域では生涯学習や産学官連携活動などの学習活動が盛んにおこなわれています。地域における学習というコンセプトは決して新しくな…

愛大生と考える今治地域の未来に参加してきました。

今治市のみなと交流センター(はーばりー)で「愛大生と考える今治地域の未来」というシンポジウムがあり、スピーカーとして参加してきました。 以前からフィールドに入っている長野県飯田市の取組みについて発表してきました。 今治には来年度に岡山理科大…