地域戦略ラボ

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英国事情

イギリスの意欲的な (?) 地域政策が発表されました。

イギリスのジョンソン内閣は、イギリスのすべての地域をレベルアップさせるという 地域政策に関する意欲的な白書を2月2日に発表しました。 <目次> <本白書の内容> <イギリスをレベルアップさせる12のミッション(到達目標)> <イギリス(イングランド)…

地域でイノベーションを起こしやすい環境づくり:英国ニューカッスルの取組み

このブログでは、最近イノベーションハブについて紹介しましたが、地域イノベーションの空間づくりの実証研究としてイギリスのニューカッスルで行ったフィールド調査の結果をとおして具体的に見ていきたいと思います。 なお、本編は「イノベーション空間の整…

イノベーション・ハブの作り方[研究ノート]

前回のブログ(イノベーション・ハブって何?)で、イギリスの研究機関である Connected places Catapultから公表されたイノベーション・ハブの類型化に関する報告書について紹介しましたが、同時に政策担当者向けにイノベーション・ハブの作り方に関する報…

イノベーション・ハブって何?[研究ノート]

イギリスの研究機関である Connected places Catapultが、イノベーションハブの類型化に関する報告書を公表しました。今回はその内容を簡単に紹介します。 《目次》 報告書の背景・問題意識 イノベーション・セクターの立地ニーズ イノベーションエコノミー…

産業政策における地域の重要性

ヨーロッパ(特にイギリス)では産業と地域の活性化を”レベルアップ”というコンセプトで展開しています。それを産業政策の地域的展開と捉えています。従来の地域産業政策であると、地場産業やローテク産業などが含まれますが、国の産業政策としてハイテク産…

イギリスの地方自治における権限移譲とEU離脱

日本地理学会のE-journal GEOに拙稿「北東イングランドにおける権限移譲と地域の変容」が公開されました。 イギリス、特にイングランドの地方自治制度は保守党と労働党の政争の具にされることが多く、中央集権の中で、中央政府が地方自治体に対して権限を吸…

世界のテックシティー(イギリス編)

世界にはハイテク、特にデジタル技術をもとにした新しいビジネス活動が集積している都市・地域があります。 以下、世界のテックシティーについて紹介していきたいと思います。 まずは、イギリス編 イギリスには優れた学術機関があります。2020年THEの世界大…

[読書メモ]産業革命も連続的イノベーションによってもたらされた

ジョエル・モイキア、監訳長尾伸一、訳伊藤庄一(2019)『知識経済の形成 産業革命から情報化社会まで』名古屋大学出版会 本書は 経済史の泰斗である米国ノースウエスタン大学教授のジョエル・モイキアの”The Gift of Athena””の邦訳本です。彼は、技術革新…

[教材動画]マンチェスターの盛衰を授業として行っています。

大学の授業の1コマを使って、産業都市マンチェスターの盛衰について学習しています。 産業革命が起きた都市としての発展から、20世紀に入ってからの衰退、そして近年クリエイティブ都市としての復活について解説しています。 マンチェスターは一般的にはマン…

[解説記事]都市地域(city region)って知っていますか?

都市地域ってご存知ですか? 以下にイギリスの研究動向を中心に都市地域について簡単に解説したいと思います。 <目次> 1.都市地域がなぜ注目されているのか (1)都市地域のはじめ (2)地域から都市地域へ 2.都市地域の論文数の推移 (1)研究論文…

イギリス文化都市2017年に選ばれたハル

ハルは人口26万人のイングランド中部の北海に面した港町で栄えた町です。 EUではヨーロッパ文化首都(Capital of Cluture)という政策があり、年に2都市選んで文化振興を図っていく取組みがされています。イギリスでは1990年にグラスゴーが、2008年にリバプ…

リンカーンに来ました。

リンカーンシャーの中心都市であるリンカーンに行ってきました。 シェフィールドからも、ノッティンガムからも電車で1.5時間程度のところにある人口15万人程度の町です。 町の起源はローマ時代にさかのぼるそうで、町の東にある丘には大聖堂とお城があります…

シェフィールドに来ました。Part 2 ハイテク製造業の巻

シェフィールドの近郊にあるAMRC(Advanced Manufacturing Research Centre)に行ってきました。 元々は炭鉱の採石所があったところをサイエンスパークに開発したところに立地しています。 AMRC自体はシェフィールド大学のものですが、ボーイングと共同で運…

シェフィールドに来ました。Part 2 伝統的な刃物産業の巻

昨年の9月に続きシェフィールドにやってきました。 下の写真は町の中心にある市庁舎です。大きな噴水広場があり、人々がくつろいでいます。 Chimoという銀製品の食器製造会社を拝見させていただきました。昔ながらの製法でテーブルウェアを製造していました…

ニューカッスル大学 都市・地域開発研究センター(CURDS)

9月12日にニューカッスルに行ったことはこのブログでも紹介しましたが、訪問先が私の訪問をHPで紹介してくれました。これで来年も調査で訪問しなければいけないことになりました。 下記URLをご覧ください。 News Item - Centre for Urban and Regional Devel…

デジタルシティー/テックシティー

ロンドンの東部にデジタルテクノロジーをベースとしたクラスター”Tech City”が形成されていることは有名ですが、イギリスではそれを全国に拡大させようという動きが展開されています。 確かに、ロンドンはデジタル産業の就業者数が最も多い地域ですが、就業…

イギリスの地域政策

イギリスの地域政策といっても正確にはイングランドの地域政策について調査しています。イングランドの地域政策はしょっちゅう変わり、それを理解するのがとても大変です。政策における”地域”という括りが一定していなく、”地域”の定義(地域とは何なのか)…

シェフィールドに来ました。

シェフィールドに来ました。マーシャルも言及している製鉄業で栄えた”元祖"産業集積です。 ケルハム島の産業博物館はシェフィールドにおける製鉄の歴史を展示してあったとても面白いです(興味があればの話ですが…)。今『Steel City』という本を読んでいる…

ストックトンに来ました。

ストックトンとは1825年に世界で最初に蒸気機関車の鉄道がダーリントンまで結ばれたところです。誰もが認めるものすごいイノベーションですよね。 下の写真は町の中心部にあるスチーブンソンの蒸気機関車を記念してつくられたモニュメントです。午後1時にな…

ミドルスブラに来ました。

今日はミドルスブラに来ました。製造業中心の地域です。 tatooを入れた人が多いし、若い子持ちの夫婦が多いし、確かに豊かなとは言えない地域です。昨年隣町のSSIの製鉄所が閉鎖され3000人の労働者が余剰になったそうです。地域経済としてはかなり病んでいる…

ニューカッスルに来ました。

イギリスの地方都市の調査でニューカッスルに来ました。 イングランドのLEP(Local Enterprize Partnership)にの現況ついてヒアリングしました。来年5月に直接市長選挙がるのですが、全部にではなく中央政府と取引できたところだけだそうです。 ここ数年間は…

時代のターニングポイント

イギリスでEUに残留するかどうかの国民投票が行われたのであるが、結果は報道された通りである。 EU Referendum Results - BBC News これは時代の大きなターニングポイントであると思う。スコットランドはいづれ独立することになって、EUに加盟するのだろう…