大学の新入生に大学での学びについて考えるために薦める本7選[読書]
この春から大学に進学する人もいると思います。
大学での学びは高校までの学びとは違います。
高校までは先生の言われたことをノートに板書して覚えることが中心だったと思います。
しかし大学では、先生の板書は気まぐれだし、板書をしない先生もいます。
そして、テストでは覚えたことをそのまま書き出すことではなく、自分の意見が求められます。
また、高校までは”生徒”でしたが、大学からは”学生”になります。
大学では、自らが主体的に知識を獲得し考えを作り上げていく姿勢が求められます。
そこで、これから”学生”になる人たちに、改めて大学での学びについて考えてもらいたく、
その際に参考となるであろう本を紹介いたします。
上田紀行 編著(2020)『新・大学でなにを学ぶか』
東京工業大学の教養系の13人の先生が、それぞれの観点から大学での学びについての考えを述べているオムニバス本です。分野もそれぞれ異なる学者が自分の体験から学び面白さや苦労を述べています。
学びに絶対的な方法があるわけではなく、それぞれが試行錯誤しながら身に着けていることがわかります。
いろいろな学問分野の学びについてのエッセーとして面白いです。
今井むつみ(2016)『学びとは何かー〈探究人〉になるために』
著者は慶応義塾大学の認知科学の先生です。本書は専門的でとっつきにくい点はありますが、学ぶということが受動的に知識を記憶することではなく、探究型で能動的に知識を獲得することであるということがわかります。
また、アクティブラーニングを、表層的に捉えるのではなく、知識獲得のメカニズムとして必要なことがわかります。
本書を通して今までの学習観を刷新してほしいです。
岡山大学で文化人類学を教えています松村先生は本書の中で、「大学は『学問』をする場所です。その『学び』は、高校までの勉強と目的や方法が少し違います。大学では、正解を知っていたり、問題の正しい解き方を憶えたりすることは、かならずしも重要ではありません。食い違う情報の中から、みずから問いをたて、複数の視点やアプローチを試しながら、自分なりの『答え』を探ることが求められます。」と言っています。
大学の先生がどのようなことを考えて教えているのかを知りたい人におすすめです。
斉藤孝(2020)『人生が面白くなる 学びのわざ』
本書はNHK出版から発刊されている104ページほどのMookですので、内容も難しくありません。軽く手に取って読んでみるのも良いと思います。斎藤先生は教育学者であり、他にも学びについて多くの著作を出版しています。
本書は、”学び”とはと改めて考えてみたい人におすすめします。
東谷護(2007)『大学での学び方:「思考」のレッスン』
成城大学の共通教育研究センターが監修しているため、本書は大学での学びを、思考の準備→「読む」→「問う」→「練習する」→「調べる」→「書く」の流れがわかりやすく示しています。
大学での学びの流れをつかみたい人におすすめします。
宮内泰介・上田昌文(2020)『実践 自分で調べる技術』
上記の本が大学の学びのプロセス全体を要領よくまとめている本に対し、本書は調べることに特化して、そのメソッドを紹介しています。
本書では、文献や資料の探しからから、フィールドワークの仕方、ヒアリングやアンケート、データ整理について一通り解説していますので、調査法の入門として最適と思います。
大学では「調べなさい」という課題が多く出されると思います。と言っても、どのように調べてよいかわからないことが多くあります。そのように調査法に戸惑った人におすすめの本です。
読書猿(2020)『独学大全』
私が考える大学卒業時までに身に着けていもらいたい能力は、独学できる能力です。
この本は、通して読むというより、何か勉強してみたい、調べてみたいという時に参考書のように使ってみるという使い方が良いと思います。
しかし、この本を使いこなす前提としてある程度高い知性が必要です。
なので、私が考える大学卒業時までに身に着けてもらいたい能力としてはこの『独学大全』を使いこなせることと言い換えることができます。
2022年3月19日作成