地域戦略ラボ

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イノベーションをとりまく地方的雰囲気について

 地方都市に住んでいると、イノベーションという言葉とそれに対する反応が東京の大手企業やマスコミで捉えられているものと違うと感じます。

イノベーションを取り巻く地域の雰囲気について、以下にその違いの背景について述べていきたいと思います。

 

イノベーションリテラシー不足

地方では、まずは”イノベーション”という言葉を知らない企業や人が多いです。技術革新という言葉は知っていますが、イノベーションは技術由来のモノだけでないということでもう技術革新という訳語は使わなくなりましたので、イノベーションが言葉とともに定着していないと言えます。

以前のブログでも述べましたが、イノベーションを”新しいものを創る”ことと認識すればもっと気軽に取組めると思います。

 

イノベーションを特別視する

イノベ―ションについて技術革新という思い込みがあり、また政府のアプローチが革新的なイノベーションを求めることもあり、イノベーションの取組みを大変なことと、自分たちに関係のないこととして、排除することがあります。

現在の内閣府のムーンショット型研究開発制度については「それ別世界、別の星の話?」っていう感じです。(確かに突っ込みどころ満載の事業ですが…)

政府の取組みだけがイノベーションではないので、もう少しイノベーションを広くとらえ、心理的バリアを除いていく必要があると感じます。

 

イノベーション疲れ

2002年の知的クラスター創成事業・都市エリア産学官連携促進事業から多くの自治体で多くの予算を割いて地域でイノベーションを創出する取組みを行ってきました。それから20年弱の年月が経っていますが、目立った成果が表れていないことが挙げられます。

政策現場では、イノベーションは東京の大企業のモノで地方で起こすのは無理だとして、イノベーションを看板に掲げなくなった自治体も多くあります。

 

確かに、イノベーションって地方においては身近にないし、自分たちに関係がないものと捉えられている傾向が見受けられます。しかし、新しい産業をおこしたり、我々の生活をより良くさせるためには、”何かあたらしい”ものやことが必要となります。そのためイノベーションという新しいもの・ことを創る取り組みが求められます。

現在の知識経済社会における産業政策は、従来型の企業誘致や設備投資補助ではなく、新しい知識を創出し新しい価値を生むことを支援することが中心になるべきだと考えています。