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イノベーションにおける組織間学習

イノベーションの創出のためには、他組織との連携を図るオープン・イノベーションが重要であり、そのオープン・イノベーションでは、新しい知識の創造という学習が行われています。つまり、オープン・イノベーションは組織と組織の間で行われる組織間学習と言えます。


イノベーションのための組織間学習は、企業間や産学間のアライアンスやコンソーシアム、ジョイントベンチャーなどの形態をとることが多いです。


研究コンソーシアムの形態としては、研究施設を共有し、研究者が同一の場所に集結して研究を行う集中研方式と、研究者がそれぞれの研究施設に分かれて研究を行い、その成果を持ち寄り進める分散研方式があります。

そして、組織間学習には組織と組織を結ぶ場という空間が必要となります。


アライアンスや研究コンソーシアムなどにおける企業と大学の異なった組織文化による連携では、大学は研究が主目的であるのに対し、企業は利益の創出が目的であるというように目的が異なるため、組織間での軋轢が生れやすいです。

そのため、異なった組織文化や組織規範のギャップを埋め、コミュニケーションを円滑に行えるようにすることが必要となってきます。

また、社会的課題が複雑になり、その複雑な課題を解決するために、幅広い分野の産学官の組織の参画が必要になると、複数の組織が集まり、関係構築をより組織的に、効果的に行うことが必要となってきてきます。

そこで異なった組織の文化や言語(コード)がわかり、コミュニケーションの促進をはかる中間組織(Intermediary) が求められるようになってきています。


間組織とは、ある単体の組織が抱える文化や制度を超越した組織であり、その形態は、大学や公設試験研究機関などの公的な研究機関や、研究コンソーシアム、技術組合などや、ファンド組織や研究会なども含まれるとされています。

その中で中間組織としての研究機関 は、大学と企業のギャップを埋める橋渡し役を担うことが多く、具体的には、共同研究により、用途開発やスケールアップ、標準化技術開発などを担うことが多いです。

 

野澤一博(2020予定)『イノベーションの空間論』一部改筆