地域戦略ラボ

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学習プロセスとしてのイノベーション

イノベーションは、ものやサービス、技術、ビジネスモデルなど様々なかたちで生み出されるが、それら創出の共通的要素として新しい知識の創造が不可欠であることがあげられます。

イノベーションのプロセスでは、例えば、研究開発では科学的原理や物性に関する知識などが、生産開発では生産ノウハウや品質、制御に関する知識が、マーケティングでは市場情報やビジネス戦略などの知識が創造され、集められ、統合されることによりイノベーションが生まれます

つまり、イノベーションとは集合知であると言えます。そして、イノベーションは新しい組み合わせにより生まれるとされているが、それは知識と知識を結合させる学習を意味します。

イノベーションのための新たな知識を生み出す学習は、個人や企業が単独で行うものではなく、組織間の相互交流的な学習により生まれます


イノベーション創出のプロセスにおける知識創造では、革新的な製品やサービスを生むための画期的で創造的なひらめきや創造性が重要視されます。

しかし、イノベーティブな製品やサービスを具体化していくプロセスのほとんどは、数多くの小さな発見や試行錯誤の積み重ねからなっています。

また、ひらめきや創造性とは、偶発的に生まれるのではなく、人が問題意識をもって考え続けたり、何度も試作品を作ったり、試行錯誤しながら地道な作業を積み重ねる中で生まれるものです。

つまり、イノベーションは、試行錯誤、経験、反省などの積み重ねる学習プロセスの中で生まれます。

そのため、ひらめきや創造性が生まれる環境を一部だけ抽出して、イノベーションの空間を論じるべきではなく、地道な作業を含む学習プロセスを見据えて議論すべきものです。

 

野澤一博(2020予定)『イノベーションの空間論』一部改筆