地域による地域のための地域政策
欧米の地域政策の最近のキーワードとして"place-based approach"、つまり場所をもとにした政策アプローチが挙げられます。
今までの地域政策は中央政府によるトップダインの政策が多く、”One size fit all”として、画一的なアプローチが多かったですが、それで何年かけても地域は豊かになっていないという現実があります。
そこで、今までの考え方をやめて地域を一番よく知っている地域の人に地域政策は任せるべきであるという考え方です。
それ自体は、内発的発展論の中で議論してきたので特に目新しいことはありませんが、それを地域政策と言う具体的な実現段階で地域をより知ることが大切である、という考え方です。
欧米ではなくニュージーランド(欧米のコンテクストは共有している)のコンサルタントであるデービッド・ウィルソン氏によるレポート”Powering up the Regions”が注目されています。
このレポートは、新しい考え方を示しているというより、"place-based approach"をサステイナビリティと絡めながら政策立案のフェーズで上手くまとめている点にあります。
これからの地域政策は、日本においても当然"place-based approach"の考え方が主流になると思います。つまり、地域において上手く地域政策を立案・展開できる力が求められて生きます。
本日は、以下にそのレポートにおいて指摘している5点を簡単に紹介したいと思います。
本レポートでは
1. 地域の潜在能力を発掘するためにはより地域主導のアプローチをとるべきである
a - 多層的、多機関的な目的志向の地域ガバナンスを構築させる
b - 地域経済開発機構間のネットワーク力を向上させるガバナンスが必要とするリソースを確保する
c - 地域経済開発を実施する地域レベルの能力を向上させる
d - 場所に基づいたアプローチとリスクの分担を通して政策の柔軟性を増幅させるのとサポートす
2. 地域経済政策の実行を改善するためには、広範囲な体系的な政治体制をとるべきである
a - 地域経済開発機構が何ができて何をすべきかを明らかにする
b - 中央政府が何ができて何をすべきかを明らかにする
c - 全てのレベルにおいて地域経済開発政策の理解を向上させる
3. 地域経済開発予算の補助金提供を増やすべきである
a - 地域行政成長ファンドから地域経済ファンドへの移行すべきである
b - 地域行政開発ユニットから地域開発のユニット移行すべきである
c - 地域における地域投資ファンドを設立し、活性化させるべきである
4. 地域のイノベーションを創成し、専門性を高めるべきである
a - クラスター開発と専門性を向上させる
b - イノベーションと地域の専門化に積極的に投資すべきである
5. 現実的な政策効果評価のフレームワークを作るべきである
a -文脈やメカニズム、アウトカムを評価する
b - なぜ、どのような状況で何が作用するのかを学ぶ
c - 地域ごとや国の視点によって地域を評価する。