地域戦略ラボ

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平成30年間に製造業はどのように変化したか(産業分野編)

平成30年は失われた20年とも30年とも言われています。その中で、日本の強味であった製造業も競争力を喪失したと言われています。そこで、今回日本の製造業が30年間で具体的にどのように変化したかを見ていきたいと思います。

(データは経済産業省の工業統計(4人以上の事業所)を使用しました。)

 

①製造業全体の変化

平成元年の1989年から平成30年の2018年の産業規模を見てみる。平成元年を1と指数化すると、平成30年の事業所数は0.44、従事者数は0.71と大幅に減少しています。従事者数は近年横ばいなのに対して、事業所数は着実に減少しています。

製造品出荷額と付加価値額はリーマンショック後に大幅に減少しましたが近年は若干上昇傾向にあります。

しかし、30年経過して0.94、1.11という数値は、30年前とほぼ変動がなく、産業として成長しているとは言えない状況です。

 

図1 事業所数、従事者数、製造品出荷額、付加価値額の変化(1989~2018年)

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②業種別(産業中分類)の変化

産業中分類別に事業所数、従事者数、製造品出荷額、付加価値額の30年の変化をみます(100%を現状維持とする)。

事業所数、従事者数をみると、食料品製造業、プラスチック製造品製造業、輸送用機械器具製造業の3業種は産業規模が拡大していました。

製造品出荷額、付加価値額をみると、そのほかに、化学工業、石油製品・石炭製品製造業、非鉄金属製造業、一般機械+精密機械器具製造業は増加していました。

繊維工業、木材・木製品製造業、家具・装備品製造業、パルプ・紙・紙加工品製造業、印刷・同関連産業、なめし革・同製品・毛皮製造業、窯業・土石製品製造業、電気機械器具製造業、その他製造業は4つの項目すべてで減少しており、特に繊維工業の産業規模を1/4~1/3程度に縮小していました。

 

表1 業種別事業所数・従業者数・製造品出荷額・付加価値額の変化

   (1989年~2018年)

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③ 業種別の構成比の変化

主な業種の製造品出荷額のその年の構成比率の推移を見てみます。

平成元年は電気機械器具製造業が17.0%と最も構成比率が高かく、次いで輸送用機械器具製造業14.1%、一般機械+精密機械器具製造業が13.6%と同程度で多かったです。

平成30年の3業種の構成比率をみると、輸送用機械器具製造業が21.1%と大幅に増加しており、一般機械+精密機械器具製造業が12.4%と同程度でした。電気機械器具製造業が12.6%と大幅に減少していました。

つまり、平成初期には一般機械+精密機械器具製造業と電気機械器具製造業と輸送用機械器具製造業が鼎立していた状態でしたが、平成30年間に輸送用機械器具製造業のウェートが高まったと言えます。

その他に、食料品製造業、化学工業、石油製品・石炭製品製造業のウェートが高くなっています。

ちなみに、繊維工業について、平成元年は4.0%であったのが、平成30年には1.1%と大幅に減少していました。

 

表2 主要業種別製造品出荷額構成比率の変化(1989年~2018年)

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④従事者数と製造品出荷額の変化の関係

業種別の従事者数の変化と製造品出荷額の30年間の変化の関係を見てみます。

どの業種も、従事者数の増加率より製造品出荷額の増加率が高く、労働生産性が高くなっていることがうかがえます。

輸送用機械器具製造業、食料品製造業、プラスチック製品製造業の3業種は従事者数の変化、製造品出荷額の変化とも増加しており、産業(業種)として拡大していると言えます。

石油製品・石炭製品製造業、非鉄金属製造業、化学工業、鉄鋼業、ゴム製品製造業、一般機械+精密機械器具製造業の4業種は従事者数は減少していますが、製造品出荷額は増加しており、業種的に筋肉質になっていると言えます。

その他の業種の労働生産性は増加していますが、従事者数、製造品出荷額とも減少しており、産業(業種)として縮小していると言えます。

 

図2 業種別従事者数の変化と製造品出荷額の変化の関係

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平成30年間における製造業の変化を業種別に見てみました。

30年間という長期において産業規模は縮小しており、付加価値額も横ばいであり高付加価値化に成功したとは言えません。

その中で、輸送用機械器具製造業、食料品製造業、プラスチック製品製造は数少ない成長業種と言えます。

製造品出荷額、付加価値額を増加させた業種は装置産業と言える業種が多いです。その中で、装置産業でも電気機械器具製造業の落ち込みが目立ちます。

同時に、繊維工業、家具、窯業、なめし革製品製造業などの小規模事業者が多い業種は大幅に縮小しています。