地域戦略ラボ

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製造業VSサービス業ではなくデジタルVS非デジタルで考えてみる。

平成の30年間において日本の製造業は縮小している。欧米諸国も国内総生産における製造業の比率を大幅に下げています。また、1995年のWindows95の発売に代表されるようにITやインターネット産業などのサービス業が発展してきています。

そのため、先進諸国においては製造業はもはや重要な位置づけではないと言えます。

近年もGAFAに代表されるように、AIやディープラーニングなどの情報をもとにしたビジネスが大幅に拡大しております。

そのため、産業の主軸は製造業からサービス業にシフトしたと言えます。確かに、ペティ=クラークの法則でも、国や地域の経済発展につれて、産業構造が農業から工業、工業からサービス業に移行していくと言われています。

 

しかし、サービス業は広範な産業を包摂しており、サービス業の発展が経済発展を意味することに疑念を抱かざるを得ません。例えば、チェーン店などの飲食業や物販業、宿泊業、介護業などは決して付加価値の高い産業とは言えません。

 

なので、産業を製造業VSサービス業とし分けてみるのではなく、デジタル化VS非デジタル化と分けてみるともう少し違った世界が見えてくると思います。

例えば、同じサービス業でも、飲食業、物販業、介護業などに対し、AIやディープラーニングはこれからの産業として注目されています。

また、製造業でも例えば家電などの大量生産品は確かに付加価値を生むことが難しくなっていますが、IoTなど第4次産業革命としてデジタル化に関連する分野は成長産業として認識されています。

 

しかし、デジタル化が高付加価値化で、非デジタル化が低付加価値化というと話はそう単純ではないようです。例えば、デジタル化されたサービス業ではコールセンターやITゼネコンによるシステム開発は高い付加価値を生み出しているとは言えないが、非デジタルの飲食業、物販業、介護業、宿泊業でも、ホスピタリティ精神を極めたコンシェルジェサービスや、高いスキルを持った料理屋などはとても付加価値が高いと言えます。さらに、製造業においても、デジタル化を果たした製品としてスマートフォンやハイスペックな工作機械でも型落ちしたものはすぐ価値が下がってしまいます。一方、デジタル化を果たしていない製造業でも巧の技やノウハウを囲みこみ、ブランド化などで差別化を図ることで高付加価値を生むことができます。

 

以上みてきたように、製造業からサービス業への移行は経済の発展を意味するとは言い切れず、産業分類があまり意味を成すものではなくなってきているほど大きな変革を遂げている最中と言えます。

その時、デジタル化という軸を通して産業の推移を見てみると産業の発展がよくわかると思います。しかし、デジタル化が単純に産業の高付加価値化を示しているのではなく、ちょっと時代遅れになったり、だれでもまねできるようなものは大きな価値を得られないことがわかります。

要するに、デジタル化においても極端に最先端でハイテクなものでなければ価値は低いし、非デジタルでも決して市場は大きくないが、だれもまねできないような高スキルの領域であれば高付加価値なポジショニングを確保できると言えます。

 

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