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コロナ禍において大学生はプライバシーをとても重要視している

現在のコロナ禍において、感染者を増やさないことと、経済を回すことの両立が求められています。また 、緊急事態宣言などのような強制力をもって人々の行動を制限することが難しくなってきています。そこで、前期の授業で大学生にアンケートを取り、大学生の価値観について調査してみました。 (回答数263名)

 

Q1-1、健康・命(コロナ)のためならプライバシーを犠牲にしても良いという回答が48%で、プライバシーの方が重要という回答が52%でした。 僅差ではあるが、コロナにおいてもプライバシーが重要という考えが強かったです。

Q1-2、安全・治安のためならプライバシーを犠牲にしても良いという回答が37%で、プライバシーの方が重要だという回答が63%でした。国が安全・治安のために個人データを囲い込むという考えにはあまり賛同がありませんでした。

Q1-3、健康・命(コロナ)のためなら経済を犠牲にしても良いという回答が62%で、経済の方が重要だという回答が38%でした。現在、経済を回すためにGo toトラベルキャンペーンなど行われていますが、大学に来れないなどの行動制限を受けている大学生にとっては、コロナをしっかり抑えるべきだという意識が比較的強かったです。

日本においては、韓国や中国のように個人データを捕捉して、個人の行動を監視し感染者を抑えるという方法をとることは技術の問題だけでなく、個人の信条として難しいと言えます。

現在のコロナ渦は、「個人の権利(プライバシー)」と「医療・生命」と「経済」の3つのバランス(優先順位)をとる非常に難しい局面にあると言えます。

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Q2-1、キャッシュレス決済については73%が肯定派でした。

Q2-2、キャッシュレス決済などでは企業に個人情報が蓄積されていますが、それについては55%が個人情報を活用されるのは構わないとの認識でした。

Q2-3、マイナンバーカードなどで国が個人の情報を活用するのは構わないとの回答は49%であり、半々と意見が分かれました。

Q2-4、経済のためなら個人のプライバシーを犠牲にしても良いという回答は22%と少なかったです。キャッシュレス決済のポイントなどの現状の使い勝手については肯定していましたが、いろいろ便利になろうとも、国などが個人のプライバシーは犠牲にしてはいけないという意識が強かったです。

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調査結果全体を見ると、大学生は個人の権利(プライバシー)をとても重視していることが窺えます。それ自体は決して悪いことではなく、これは戦後の民主教育で最も重視してきた価値観なのかもしれません。

ただ、個人の権利(プライバシー)を重視することが、本当に民主的なのでしょうか?行き過ぎた民権の主張は公共の構築を難しくするかもしれません。過度のプライバシーの重視は、中国のようなビックデータによる新たなサービス産業の創造を難しくするだろうし、マイナンバーが普及しないことは行政サービスのイノベーションを阻害する可能性もあります。