地域におけるイノベーション
地域におけるイノベーションと言いながらも、それは「Innovation in a region」を意味し、そのイノベーションは必ずしも地域のモノとは限らない。地域のためのイノベーション「Innovation for (or of) a region」とは別モノといえます。
イノベーションの活動領域と地域イノベーションのマネジメント主体である行政の領域は一致していません。つまり、地域イノベーションはイノベーションを創出した地域が利益を享受するとは限りません。
また、地域においては、知識を創造するだけではなく、地域外から幅広く技術を吸収し、ビジネス展開から産業システムとして展開することが求められています。
つまり、イノベーションは、技術があるからその地域が発展するのではなく、その地域が発展するのはその技術を活かすビジネスがあるからです。
ビジネスの担い手である企業が地域内で価値連鎖を形成し、イノベーションの成果を地域に定着させることが求めらています。その意味で、イノベーションの担い手はあくまで企業であり、行政がその活動をコントロールできるものではありません。
そこで行政がイノベーションの創出を支援する意味としては、イノベーションの確率を増加させるための環境整備を行うことであると言えます。
野澤一博(2020予定)『イノベーションの空間論』一部改筆