[読書メモ]アイデアを実現させる建築的思考術(アーキテクチャル・シンキング)って何?
西澤明洋(2019) 『アイデアを実現させる建築的思考術』 日経BP
世の中、シンキングばやりです。デザイン・シンキング、ロジカル・シンキング、クリティカル・シンキング。
一体、どれがどれで、どのように使えばいいのかわからなくなります。
この本は、新しい思考法として、建築的思考術=アーキテクチャル・シンキングを紹介する本です。
大学の建築学科では、立地の状況や施主の条件、法規制などを統合し、建物という具体的なものを形づくるプロセスを学んで行きますが、その手法は、建築設計にだけ使えるのではなく、例えばデザインやブランディング、マーケティングなどさまざな状況で使えるというものです。
私も以前の職場で建築学科出身の人がいて、彼の仕事の仕方を見ていて、与件の整理や統合が上手だなと思っており、建築を学ぶ過程におけるトレーニングは有効であると感じていました。
著者は、建築の方法として、1協働性、2社会性、3確実性、4統合性の4つの特徴があり、これは建築だけでなく社会のあらゆる創造活動に適合できると考えています。
そして、アーキテクチャル・シンキングの要素として
1.構造
2.コンテクスト
3.コンセプト
4.場
5.考える
6.共創
7.構想力 の7つがあるとしています。
これらは実はイノベーションの創造についても共通する要素と言えます。
本書では、これらの要素ごとに建築学的トレーニングを受けてきた、もしくは関連のあるエキスパート(たとえば、隈研吾氏、紺野登氏、山崎亮氏など)と対談し、考察しています。
本書は、アーキテクチャル・シンキングとは「プロセスをデザインする」こととしています。なので、具体的にどうすればアーキテクチャル・シンキングを使えるかとかは示していません。
私は、例えば社会的課題や政策などのアイデア出しでアーキテクチャル・シンキングが活用できるのではないかと考え、本書を手に取ってみました。
アーキテクチャル・シンキングについては、手順が書いてありませんでしたが、要素については示してありましたので、今後具体的にどのような手順でできるか、自分なりに考えていきたいと思います。
本書は、アーキテクチャル・シンキングを具体的に試してみたいという人にはお勧めできませんが、”アーキテクチャル・シンキング”というコンセプトをもとに、自分なりに思考法をあれこれ模索してみたい人にお勧めします。