大学におけるアクティブラーニング
新年度から新教育指導要領が大幅に改定になり、小学校から教育の仕方が大幅に変わります。それを先取りする形で、大学でも文部科学省からアクティブラーニングを取り入れるように指導されています。
アクティブラーニングとは、学修者が能動的(アクティブ)に学修(ラーニング)に参加する学習法の総称であり、体験学習、調査学習、グループディスカッション、ディベート、グループワーク等を指します。
本務校の学部でも通常授業で、ペア学習、リアクションペーパー、グループディスカッションなど積極的にアクティブラーニングの手法が取り入れられており、アクティブラーニング型の講義がどれだけ実施されているかをカウントしています。
本学部生の特性かもしれませんが、学生もアクティブラーニング型で授業中に何か作業があったほうが良いというものが多く、一般的な座学の授業では90分間退屈で時間が持たないと言います。
ただ、通常授業でペア学習などを部分的に取り入れても深い学びにはなっていないく、知識が本当に習得できているのか疑問に思う点があります。
また、手法としてアクティブラーニングを取り入れることが目的化して、深い学びの検証が疎かになっている気がします。
それらの要因として、現行の大学のカリキュラムが90分×15回で2単位を基本として、幅広い知識を仕入れる広く浅いが学習が中心になっており、そのフレームワークの中で部分的にアクティブラーニングを手法として取り入れても深い学びにはならないと思います。
さらに、アクティブラーニングの目的として、アクティブラーニングによる気づきから自ら学習をすることが前提となっていますが、その講義が終了してしまえば、その自らの学習をどのように行っているかを、本当にやっているのか検証していません。
(学生は講義の最後の振り返りで、「○○について知識が不足しているので今後勉強していきたいです」というようなことを言っても、単位を取ってしまえば忘却の彼方です。)
本当にアクティブラーニングを推進するのであれば、学生の学習の相談にのるチュートリアル制度が必要だと思います。
また、文系学部にとっては、いくつかの例外はありますがゼミこそがアクティブラーニングであると思います。なので、ゼミを90分×15回×週2回で4単位にするとか、ゼミを同学年で複数履修できるようにするとかして、じっくりディスカッション、グループワークができるゼミ型講義を増やす方が、通常授業での形だけアクティブラーニングを増やすより良いと思います。
将来的には、従来型の知識習得型の座学の授業はオンライン学習等に任せて、ゼミ系授業を複数こなしていくのが良いでしょう。
アクティブラーニングについては最近注目されており、選ぶのを迷ってしまうぐらい多くの関連書籍が出版されています。以下にいくつか紹介いたします。
①松下佳代(2015)ディープ・アクティブラーニング
学習効果の視点からアクティブラーニングの手法について考察した本です。
②渡部淳(2020)アクティブ・ラーニングとは何か
アクティブラーニングのの取組み事例について知りたければいかが良いでしょう。
一番最近出されたアクティブラーニングに関する本です。
③小針誠(2018)アクティブラーニング
アクティブラーニングが学校教育に導入されている現象を客観的(批判的)に捉えたい方にお勧めです。
④中井俊樹(2015)アクティブラーニング
アクティブラーニングを実践的に導入したい現場の大学教員向けのテキストです。