地域戦略ラボ

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地域イノベーション・システムの構成要素

従来、イノベーションは、企業内で起こされるものと捉えられてきたが、現在では、企業単体ではなく他企業とのアライアンスや大学や公設試験研究機関との連携など企業外とのネットワークの中で起きるものであると捉えられるようになってきています。

つまり、イノベーション創出のためには制度的環境が重要になってきています。


国レベルにおいてイノベーションの創出を促進する制度的フレームワークとしてナショナル・イノベーション・システムがあるように、地域レベルには地域イノベーション・システムがあります。

つまり、地域イノベーション・システムは、地域の生産構造におけるイノベーションをサポートする制度的インフラと解釈することができます。


そのような地域イノベーション・システムの構成要素は下図に示されます。

活動の中心として地域の産業企業群を囲う顧客、下請業者、協力企業、競争企業からなるクラスタがあり、知識の適用・活用のサブシステムとして位置づけられています。

そして、それを支える技術仲介機関や教育機関などの知識の創造・普及のサブシステムと、行政や地域開発会社による地域政策のサブシステムの3部分により地域イノベーション・システムが構成されています。

そして、それらサブシステム間では政策などを介して知識、資源、人的資本のフロー及び相互作用が生じています。

同時に、地域イノベーション・システムは国のイノベーション・システムや国際的な諸組織・政策の影響を受けています。

そして、現在、世界各地でイノベーションを生むための空間的制度としてのイノベーション・システムの構築競争が行われています。

 

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Trippl and Tödtling (2008)


野澤一博(2020予定)『イノベーションの空間論』一部改筆