地域活性化に熱心な自治体の人口動態
地域活性化に熱心に取り組んでいて、マスコミなどで”成功事例”としてよく取り上げられる自治体がいくつかあります。
地域活性化の目的の1つが”地方消滅”を回避するため、人口の増加を図ることが挙げられますが、そこで地域活性化に熱心に取り組んでいるいくつかの市町村の人口動態を見ていきたいと思います。
事例として、徳島県神山町、徳島県上勝町、高知県馬路村、大分県由布市、島根県海士町を選んでみました。
(下記グラフはRESASで住民基本台帳を基に作成したものです。1994年から2016年までの自然増減(赤)、社会増減(緑)、増減率(青)を示しています。単位は人です。)
徳島県神山町は、ワークインレジデンスによりICT企業のサテライトオフィスが作られるなどマスコミで良く取り上げられています。なので移住が進んでいるのかと思いましたが2011年にちょっとだけ社会増が見られますが、基本的に社会減が進んでいます。移住は実際にあると思いますが、それより地元高校生などの流出が続いているのでしょう。
しかし、神山町は「創造的過疎」として、人口増加を目標にしているわけではありません。高齢者がなくなっていくので人口減少は致し方ないとしています。赤い自然減はしょうがないとしてみどりの社会減を以下に抑えていくか(伸ばしていくか)がやはりカギでしょう。
徳島県上勝町は葉っぱビジネスなどで有名な自治体です。こちらは、社会増の年が4回あり神山町に比べて社会減の数は少ないです。しかし、傾向としては人口減少でありここ数年減少率が大きくなっています。
高知県馬路村は「ごっくん馬路村」をはじめとしたゆず製品の製造販売で有名です。「ごっくん馬路村」自体だいぶ前の取組みなのでそれが良くマスコミに取り上げられていた90年代後半には人口増加の年もありましたが、基本的には人口減少が続いています。2015年に社会増になっているのは希望が持てる現象ではないでしょうか。
大分県由布市は由布院温泉で有名な観光地です。由布院が湯布院で観光ブームであった2000年代前半までは社会増も多く人口は増加していましたが、最近では観光ブームがちょっと去ったような感じになり、人口減少が続いています。
島根県海士町は政府の地方創生で成功例としてよく取り上げられる自治体です。若い人たちの島への移住が進んでいることや島前高校の取組みで若年者の流出が抑えられていることで社会増の傾向が見られるのだと思います。
北海道東川町は人口が増加していますが、旭川市のベットタウンとして移住が進んでいる側面が強いです。
地方にある大都市圏に属さない自治体で人口増加しているところは基本的にないです。海士町は数少ない例外だと言えます。(それでも人口増加傾向がいつまで続くかは見通せません。)
以下に、各地域の参考文献を掲載させていただきます。
天然ユズが村を救った馬路村農協の軌跡(高知県) (まんが 農業ビジネス列伝―食と農の未来を拓く挑戦者たち)
- 作者:農林水産省中国四国農政局
- 出版社/メーカー: 家の光協会
- 発売日: 2007/03
- メディア: 単行本