地域戦略ラボ

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イノベーションって何ですか?

イノベーション」って流行り言葉で多くの人が使っている。1月6日の本ブログ「地域イノベーションって何なのか?」でも取り上げたように、その定義自体で議論が変わってきてしまう。

一橋大学名誉教授の伊丹敬之先生は、本書でイノベーションを「素晴らしい技術を使ってみんなの生活を変えるようなものが提供されること」と定義している。 また、イノベーションのプロセスとして、筋のいい技術、市場への出口、そして社会が動く、これら三つが揃ったらワンセットでイノベーションと呼んでいいと言っている。

 そして、イノベーションはその国や地域の文化に根差したものであるとも言っている。確かに、日本にアメリカ型の一発逆転的なイノベーションの創造は難しいであろう。しかし、国の科学技術政策では、大学発のベンチャーつくりを支援し、アメリカのようなラディカルなイノベーションを起こすことを求めている。

 デンマークでは、イノベーションとはアメリカ型ではなく、インクリメンタル(漸進的)なイノベーションを追求している。日本はアメリカ型イノベーションを追求しているのでいつまでたってもそれは見果てぬ夢のままなのだろう。 

本書は、他にもイノベーションが累積的に発展していく話や、イノベーションの社会的受容性についても言及していて、イノベーションに関する問の立て方が良いと思う。

先生、イノベーションって何ですか?

先生、イノベーションって何ですか?

 

 本書は、イノベーションとは初めて聞いたような学部生にちょうどいいレベルである。

一橋大学の『マネジメントテキスト イノベーション・マネジメント入門』や野城先生の『イノベーション・マネジメント: プロセス・組織の構造化から考える』は修士課程生徒用かなと思います。