地域戦略ラボ

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イノベーションはマネジメントできるのか?

2016年9月1日の野城先生の『イノベーション・マネジメント』の書評でも取り上げたが、現在日本のイノベーション観は、技術革新中心であり、技術が優れていればイノベーションが起きるという見方に引きずられていると。

東京大学i-schoolのディレクターの横田幸信氏が書いたのがこの『イノベーションパス』である。パスとは経路(Path)を意味し、イノベーションには方法論があり、その方法論にもとづき事業開発戦略を行うというのが本書の主旨である。 

横田氏は「日本企業の中で特にメーカーは、高度経済成長期からのものづくり分野における「技術革新」での成功体験を引きずり、イノベーション分野でのトレンドとも言えるデザイナーの活用や人間中心のアイデア発想の方法論導入などで、世界的に遅れをとっているように思います(p.18)」と述べている。「日本企業に対しては、…「人間中心イノベーション」という考え方と方法論を、個人及び組織に植え付けることが有効」と言っている。

本書ではアイデアの出し方、収束の仕方などの方法論・マネジメントについても言及している。デザインシンキングに重なる議論であり、シリコンバレー的なイノベーション・マネジメント方法論であろう。アメリカは確かに世の中をシステム的に再構築し、モデル化しパッケージとして売り出すのがとてもうまい。

個人的には、イノベーションは一人の突出した能力の持ち主や画期的な研究シーズから生み出されるというプリミティブなモデルが好きであるが…。

あとがきに書いてありますが、この横田氏は趣味もイノベーションだそうです。

 

INNOVATION PATH イノベーションパス

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