地域戦略ラボ

地域経済や地域マネジメントに関していろいろな事を考えていきます。

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産業政策における地域の重要性

ヨーロッパ(特にイギリス)では産業と地域の活性化を”レベルアップ”というコンセプトで展開しています。それを産業政策の地域的展開と捉えています。従来の地域産業政策であると、地場産業やローテク産業などが含まれますが、国の産業政策としてハイテク産…

平成30年間に製造業はどのように変化したか(産業分野編)

平成30年は失われた20年とも30年とも言われています。その中で、日本の強味であった製造業も競争力を喪失したと言われています。そこで、今回日本の製造業が30年間で具体的にどのように変化したかを見ていきたいと思います。 (データは経済産業省の工業統計…

平成30年間に製造業はどのように変化したか(都道府県編)

前回に引き続きまして、平成の30年間においての製造業の変化を都道府県別に見ていきます。 ①都道府県別の事業所数、従事者数、出荷額、付加価値額の変化 平成期における都道府県別の製造業の変化を見ると、事業所数は47都道府県すべてで減少しています。従…

すべての地域・都市にイノベーション政策を広げよう(OECD報告書)

OECDでは2020年10月に「すべての地域・都市にイノベーション政策を拡大しよう:Broad-based Innovation Policy for All Regions and Cities」という179ページの報告書を発表しました。その報告書は最近の欧米の地域イノベーション政策の考え方を表しています…

地域活性化のためのイノベーション:ローカル企業と公設試による骨まで食べられる魚干物の開発

以前のブログ(および拙著『イノベーションの空間論』)で地域イノベーションを ①-A 技術基盤構築型地域イノベーション(ハイテク型)②-B 技術基盤構築型地域イノベーション(ローテク型)③リビングラボ型地域イノベーション④地域埋め込み型社会イノベーショ…

「地域経済学」を学習するための本5選(その2)

過去の記事でも紹介しましたが、大学で「地域経済学」について講義しています。講義では地域経済に関するリテラシーを向上させるためにいろいろな本を紹介しています。 《今回紹介する本》 曽我謙悟(2019)『日本の地方政府』 今井照(2017)『地方自治講義…

地域のマーケティングについて考えてみる

昨年イギリスの自治体の都市計画部署を訪問した際に、「市役所に勤めるのに今後必要な能力はどのような能力ですか?」という質問をした際に、「マーケティング能力」という答えがありました。 そのことがありましたので、最近改めてコトラーら(1996)の『地…

製造業VSサービス業ではなくデジタルVS非デジタルで考えてみる。

平成の30年間において日本の製造業は縮小している。欧米諸国も国内総生産における製造業の比率を大幅に下げています。また、1995年のWindows95の発売に代表されるようにITやインターネット産業などのサービス業が発展してきています。 そのため、先進諸国に…

地域政策において場所性を考慮すること(場所基盤)の必要性

地域とは当然、千差万別であり、一つの政策がすべての地域に適用可能なわけではない(One size does not fit all)という議論は以前からされています。 特にこの考え方はイノベーション政策に顕著であり、地域のポテンシャルが違うので、政策もそれに合わせ…

中国の台頭としてBATHについて詳しく分かる動画集

前期の主に1年生を対象とした共通教育「地理学入門」の1コマで「中国の台頭」について取り上げました。 大学生の中国観は意外と古臭く、「日本より遅れているのでは」「パクリ品が多い」などのイメージが多かったです。そこで、バイドゥ、アリババ、ティンセ…

改めて、いま必要なのはテクノロジーイノベーションである。

日本ではイノベーションは技術革新を訳されてきて、それがイノベーションに対する誤解を生んだと言われています。確かに、イノベーションは技術革新だけを指すものではありません。技術に由来しないビジネスモデルや制度や社会的なイノベーションもあります。…

[読書レビュー]知識経済における地政学について考える

『Geopolitics of the Knowledge-based Economy』はフィンランド・ヘルシンキ大学地理学部のサミ・モイシオ教授の著書であり、2019年にRegional Study Associationの著作賞を受賞した本である。 知識経済を地政学の視点で論じるにあたり、2つのアプローチが…

地域格差は是正されるのか?

地域格差の是正について、高度成長期は、日本全体が経済成長する中で、産出された富の分配として富める地域から富めない地域へ経済的支援という側面がありました。 しかし、国全体が経済成長していない中で、富を分配すること自体が難しくなっていっています…

地域による地域のための地域政策

欧米の地域政策の最近のキーワードとして"place-based approach"、つまり場所をもとにした政策アプローチが挙げられます。 今までの地域政策は中央政府によるトップダインの政策が多く、”One size fit all”として、画一的なアプローチが多かったですが、それ…

ヨーロッパにおける地域間格差(その2)

昨日公表したJournal of Economic Geographyの論文をもとに、その続きとしてヨーロッパにおける地域間格差への政策アプローチについて紹介したいと思います。 (論文) Iammarino, S., Rodriguez-Pose, A. and Storper, M. (2019) Regional inequality in Eu…

ヨーロッパにおける地域間格差(その1)

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの地理学部の看板教授3人が昨年Journal of Economic Geographyで公表した論文をもとにヨーロッパにおける地域格差の現状について紹介したいと思います。 Iammarino, S., Rodriguez-Pose, A. and Storper, M. (2019) …

人口減少社会において持続可能な地域をつくれるのか?

『地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)』 が書き示すように、日本の地域は人口減少により将来消滅すると言っても決して驚くような言説ではなくなりました。 下図は愛媛県八幡浜市の人口動態を示したグラフです。1950年に7.3万人だった人口が20…

データで見る東京一極集中:地方創生総合戦略1期の検証

昨日のWeb News Business Japanに「なぜ広島県が人口流出ワースト1位…」という記事があり、気になりましたので、データーソースの住民基本台帳人口移動報告2019年(令和元年)結果にあたってみました。 まず、広島県の状況を見る前に、内閣府の「まち・ひと…

デトロイトに見る産業都市の盛衰

20世紀を代表する産業都市としてアメリカ・ミシガン州のデトロイトが挙げられる。デトロイトは自動車産業の興隆とともに発展していった町である。デトロイトの興隆から衰退の軌跡について見ていきたいと思います。 1. デトロイトとフォードの発展 自動車産…

地域イノベーションの課題 その1

地域イノベーションの課題として、大きく分類して(1)イノベーションのインパクトおよび地域への波及 (2)イノベーションの領域とマネジメント が考えられます。 本日は(1)イノベーションのインパクトおよび地域への波及 について考えてみたいと思い…

テックシティの興隆 その2

2月8日のブログでも書きましたが、アメリカを中心にテックシティへの富の集中が進んでいます。 最近、イギリスLSEのSimona Iammarino教授らがデジタルテクノロジー企業の富の偏在が地理的に与える影響について分析していますので、ここに簡単に紹介します。 …

アメリカのテックシティーの興隆

昨年の12月にアメリカのBrookings 財団からアメリカの成長拠点であるテックシティーの状況に関するレポートが公表されました。 アメリカのイノベーション産業は活況を呈しており、その様な産業が集積しているテックシティ(イノベーション・ハブ)も大きく成…

地域産業のポートフォリオを考えた政策展開が必要です。

地域産業政策は地域にある既存の産業の支援が中心となり、未来の産業を育てる仕事が片手間にやられていることが多いです。 地域の産業は税金も払っており、雇用も多く抱え、ステークホルダーとして行政との関係も強く(声も大きく)、地域に大きな影響力を有…

地方創生で地方は恩恵を受けています。

都道府県別の就業者数の変化を見てみました。 (資料 総務省「労働力調査」を参照) 図1は全国の就業者数の2002年から2018年の変化をみたものです。2002年には6335万人であったものが、東日本大震災後の2012年には6278万人に落ち込み、2018年には6667万人に…

ジャパン パッシング(世界空港ランキングに見る日本の空港の機能的地位の低下)

日本の各空港はインバウンドブームで乗降客数を伸ばしていますが、世界的に見たらどのような状況なのでしょうか。 下表はAirport Council Internationalが発表した世界空港ランキングです。 表1は旅客者数のランキングです。 1.アトランタ(米国) 2.北…

「地域経済学」を学習するための本 6選(その1)

大学で地域経済学を教えています。一番理解して欲しいことは、地域経済の構造といろいろな政策の意味です。 地域経済の構造の理解とは、県民経済計算や産業連関表が読めるということであり、いろいろな政策の意味とは、例えば地産地消や観光振興、ふるさと納…

地域活性化に熱心な自治体の人口動態

地域活性化に熱心に取り組んでいて、マスコミなどで”成功事例”としてよく取り上げられる自治体がいくつかあります。 地域活性化の目的の1つが”地方消滅”を回避するため、人口の増加を図ることが挙げられますが、そこで地域活性化に熱心に取り組んでいるいく…

[教材動画]シリコンバレーの成立ちがよく分かる動画

大学の授業「産業立地論」「地理学入門」でシリコンバレーについて解説しているのですが、学生のイメージがわきやすいように動画を授業で流しております。 Animated timeline shows how Silicon Valley became a $2.8 trillion neighborhood(3分54秒) www.y…

呉市海事歴史科学館に行ってきました

呉市海事歴史科学館と言ってもピンとこない人も多いと思いますが、別名”大和ミュージアム””の方が馴染みが多いと思います。 宇宙戦艦ヤマトにも特にはまらなかったし、ミリタリー趣味でもなかったので、あまり行く気はなかったのですが、3連休だったので家族…

岡山県西粟倉村の『ローカルベンチャー』

岡山県西粟倉村で『エーゼロ』と『西粟倉・森の学校』を営んでいる牧大介さんの著書『ローカルベンチャー』を読みました。 西粟倉村は2017年にはUターン、Iターンの移住者が増え、人口が増加した。今、地方活性化の事例として島根県の海士町とともに注目を集…