テックシティの興隆 その2
2月8日のブログでも書きましたが、アメリカを中心にテックシティへの富の集中が進んでいます。
最近、イギリスLSEのSimona Iammarino教授らがデジタルテクノロジー企業の富の偏在が地理的に与える影響について分析していますので、ここに簡単に紹介します。
結論から言うと、アメリカで発展している都市として、サンフランシスコベイエリア、ワシントンDC、ボストン、シャーロッテ( North Carolina) ローリー・ダーラム (North Carolina)、オースチン(Texas)、シアトル、サンディエゴ、ニューヨーク などであり、そして、それに取り残されたデトロイトなどの地域があるとしている点に変わりはありません。
それらテックシティの興隆の要因として、集積、市場構造、金融の力を上げています。
先ず前提として、現在の富の創出の中心としてICT技術を中心としたGAFAなどの企業によるものであるとしています。
その中で、デジタル産業は集積を活用することにより生産性を上昇させており、高度な技術を持った企業や人材が集積する都市により集まりやすいとしています。
さらにデジタル産業の産業構造はネットワーク構造をしており、その活動の中心地としてネットワークのハブがあります。
そして、金融取引の自由化・資本の流動化によりさらにそのような都市への投資が進んでいることを示しています。
これから日本への含意を検討してみると、東京一極集中現象は日本におけるテックシティは東京しかないという現実を突きつけているということです。関西圏も中京圏もGAFAなどのハイテク企業が投資したくなるような企業や人材がいないということを示していると言えます。
なので、東京一極集中の是正策としては、東京のみの発展による怨嗟を取り除くための地方への資金配分ではなく、東京以外にデジタル化、ネットワーク化に対応できる人材・企業の集積をしっかり育てることが必要と言えます。
Simona Iammarino教授らは最近他にも同テーマで論文を書いていますので、機会があれば今後紹介していきたいと思います。