地域戦略ラボ

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イノベーションのためのプラットフォームの構築

イノベーション活動は、迅速に知識や人材などのリソースを集め、イノベーションを効率的に起こし、普及させていくことが求められています。

そのため、イノベーションのコミュニティには参加者を誘引する強力な磁場(マグネット)となる拠点があります。こうした拠点では、様々な組織や人、それに伴う情報やお金が出入りして、新たな関係を構築する働きがあります。

つまり、イノベーション創出のための拠点とは、物理的な研究開発施設だけを意味するのではなく、人や情報及びお金が行き交うプラットフォームであることが求められていいます。


プラットフォームとは、従来はIT産業やネットワーク・サービス産業で重視されてきた概念であり、コミュニケーションの基盤となる道具と仕組みを備え、多様な組織の協働を促進し、新しい活用や価値を生み出す基盤を意味します(飯盛2015、国領2011)。

さらに、プラットフォームの機能として、参加者間の相互接続性が向上するため、複数の主体が相互作用することにより、意図していなかった創発象を生む点が挙げられます(国領2011)。

IT産業における勝者総獲りの例をあげるまでもなく、ネットワーク知識社会においてもプラットフォームの構築が経済的な利益を多く生むメカニズムが働きます(Srnicek 2016)。


そして、イノベーションプラットフォームはネットワークの結節点であるため、ネットワーク効果や収穫逓増などの原理が働きやすくなるという可能性があります。

つまり、多くの参加者を集めたイノベーションのプラットフォームは、その価値が増大すると考えられるし、卓越性が確立されると考えられます。

また、ユーザーや開発者など多様なバックグランドを持つ参加者が多いほうが課題解決のスピードが早くなる特性をもっています。

 

さらに、プラットフォームの卓越性は、参加コミュニティの権威付けに結びつき、そこでの仲間づくりはイノベーションにおける新たな標準化策定につながります。

そして、最先端のプラットフォームでは、世界中のユーザーから解決策を求めて最先端の課題が集まる。それゆえ、最先端のプラットフォームでは最先端のソリューションが開発される可能性が高く、インパクトのあるイノベーションが創出される可能性が高いです。

そして、イノベーションの競争はプラットフォームという「場」を単位とする競争にシフトしています。

 

野澤一博(2020予定)『イノベーションの空間論』一部改筆