地域戦略ラボ

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オープン・イノベーション3.0

企業は研究開発の戦略において、弊害の大きくなった自前主義を見直し、自社内の研究資源にとらわれることなく、大学などの研究機関や他企業から技術やアイデアなどを、アライアンスのような形で積極的に取得するようになっていきました。

企業の研究開発は、自社内で充足する“クローズド・システム”から“オープン・システム”への転換が図られていきました。Chesbrough,(2003)はこのような仕組みをオープン・イノベーションと名付けました。

 

オープン・イノベーションについては、多くの企業で実践させるようになってきており、ただ単に、外部のアイデアを自社内に取り入れることを意味するものだけではなくなってきました。

イノベーションとは1企業が外部の機関と1対1の関係を構築するオープン・イノベーションから、市民などを含んだマルチディシプリナリーでマルチレイヤ―な関係を構築しているものもみられます。従来の1対1の外部連携によるものをオープン・イノベーション1.0と称し、複数の関係先が相互に混じり合う連携体制であるエコシステムオープン・イノベーション2.0と称しています(オープンイノベーション協議会2016)。

 

企業は単にオープン・イノベーションにより技術やアイデアを外部から導入すればよいのではなく、迅速に的確な相手を探し新たな知識を創造しなければならないです。また、イノベーションは新たな製品やサービスであることが多いので、標準化やルール作りが必要なため仲間づくりが必要です。そのためには、企業や研究機関が集まった間組織が存在し、それがプラットフォームとして機能することが求められてきます。

オープン・イノベーションは企業が外部から知識を取得することを意味するだけでなく、機関間の関係構築を促進し、そこで生まれた知識を有利な形で実装できることが求められてきます。そのようなオープン・イノベーションの制度的進化をオープン・イノベーション3.0と呼べるでしょう。

 

 

野澤(2020予定)『イノベーションの空間論』(一部改筆)