地域戦略ラボ

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「深圳」に関する議論が熱い

前回のブログ(12月1日)で深圳について書いた後に、ネットニュースなどを見ていたら、「深圳」について取り上げてる記事が立て続けに出ているので紹介します。

12月2日の「現代ビジネス」に26歳のライター藤田祥平さんが深圳の訪問記を書いています。東京のような高層ビル群、行きかう電気オートバイ、キャッシュレス、シェア自転車など見て、中国の先進性と日本の停滞した社会を比べ日本が負けていると言っています。他のネット記事を見たら、本記事に対して”深圳のうわべだけしか見ていない”という批判をしている人がいました。しかし、本記事は深圳の紹介というより、深圳を見て日本の若者が置かれた閉塞感を訴えている面が強いように感じます。

12月12日の「ニューズウィーク日本版」にジャーナリストの高口康太さんが現地で企業を経営している藤岡淳一さんへのインタビュー記事を書いています。深圳礼賛記事に対して、そんなに甘くないぞと言っています。この記事は深圳についてさわりだけなのでもっと知りたい人は藤岡さんが出した著書「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム (NextPublishing)を見てみるといいでしょう。

最近ブームになっている深圳の言説をみて、12月16日の「President Online」で評論家の山形浩生さんが深圳について評論しています。山形さんは30年近く深圳には通っているそうです。深圳がハードウェアのシリコンバレーになっている実態について紹介しています。

深圳を見て日本が中国に負けたとは思いませんが、日本と中国の市民の差は以前に比べれば大したことないなと思います。人々の身なりもそうですし、深圳は治安が良くなっていますし、公共道徳もよくなっています。デパートの品揃えも松山の百貨店より品揃えがいいです。

下の図は日本と中国のGDPの推移です。2008年に日本のGDPは中国に抜かれてそれから10年もたたないうちに、中国のGDPは日本のGDPの2倍以上になっています。

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http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPD&c1=CN&c2=JP&s=&e=

私の昨年9月21日のブログ「日本は経済大国でしょうか?」で取り上げましたが、日本は21世紀になってほとんど経済成長をしていません。日本は絶対的には貧しくなっていないし、物価も上がっていなくて、治安もよくていい国であるというのが多くの日本人の感覚だと思います。しかし、所得もずっと上がっていなく、社会保険料など上がっているので可処分所得は下がっているでしょう。

科学技術も転げるように落ちていき、日本が技術力があるといっても前世紀の技術のことでデジタル技術にはついていけてないし、企業の品質も信頼がおけず、GDPが上がっていなければ、日本のとりえは何なのでしょうか?国際的地位も下がるでしょう。一番最初に紹介した藤田祥平さんなどの若者の抱えている閉塞感は理解できます。

 

日本人は中国が嫌いな人が多いらしいです。中国経済破滅論がここ15年近く流布しています、というか、破滅論しかニュースとして売れないのでしょう。しかし、気が付けば中国は日本の倍以上の経済大国です。中国については理性的に議論していく必要があると思います。外交はリアリティを見て中国との関係、およびアジアでの立ち位置を考える必要があるでしょう。

食わず嫌いにならずに、自分の目で中国・深圳を見てみることをお勧めします。