デトロイトは復活できるのか?
8月にデトロイトに行ってきました。産業の盛衰と都市の変化について題材探しをしており、デトロイトは極端な例ですが産業と都市の関係を考えるには外せないケースです。
市の中心部のメイン通りです。トラムも南北に走り、とても明るい感じです。ソフトウェア関係の企業などが立地していたり、超高層ビル建設の計画もあります。再開発が進みとてもきれいです。メイン通りなら夜でも歩けます。
下の写真はパッカード自動車工場の跡地です。典型的な廃墟で絵になります。タクシーで行きましたが、ちょっと停車しただけで民間のセキュリティー会社のパトカーがすぐに来て”すぐに立ち去りなさい”と言ってきました。すれ違いの自動車の運転手は中指を立てて何かを叫びながら通り過ぎていきました。
この辺りは昼間でもやばい感じです。
フォードがベルトコンベア方式の大量生産方式を確立したハイランド工場跡地です。一部建物が残っていてテナント事務所・作業所として貸しています。この辺りは、正式にはデトロイト市ではなく、デトロイト市の中に小島のように取り囲まれたハイランド市になります。デトロイト市にはまだ、GMの工場などが残ってます。
デトロイト市は財政が厳しいため、消費税率も他の市より高く、またアメリカの都市では珍しくないですが、税収が確保できるためマリファナが公式に売られています。
エミネムの映画の舞台となった8マイル通りです。本当にこの道路を境にデトロイト市は廃墟となっており、北隣のサウスフィールドはきれいなオフィスビルが立ち並んでいます。
デトロイトは市は破綻してますが、都市圏で見ると豊かな地域が広がっています。周りの市がデトロイト市の財政を救うという動きは無いようです。
デトロイトは、ルネッサンスセンターのある中心地からウェイン州立大学までと都市圏郊外の市は比較的安全ですが、州立大学の北から8マイル通りまでのデトロイト市内はかなり危ないです。その地域に最近ではイエメンやシリアなどからの移民が流れて来ているそうです。そうすると元々いた黒人住民とイスラム系住民とのいざこざも起きそうです。
1967年の大暴動前のデトロイトの絶頂期の様子は「Once in a Great City」によく書かれています。ケネディー大統領とのつながりや、オリンピックへの立候補、モータウンレコードの活動などが詳しく描かれています。デトロイトの大暴動についてはもうじき映画が公開されるようです。
Once in a Great City: A Detroit Story (English Edition)
- 作者: David Maraniss
- 出版社/メーカー: Simon & Schuster
- 発売日: 2015/09/15
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下記の本は、デトロイトの財政破綻から自律的再生の動きについて書かれています。インキュベーションも盛んに取組まれていますが、自生的に再生するのは非常に困難なように感じました。