地域戦略ラボ

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新しい学力

アクティブ・ラーニング流行りである。

私が所属している大学学部でも、授業は、教員の一方通行的な授業ではだめで、アクティブ・ラーニング的要素を取り入れなければ今どきの授業ではないというような無言の圧力にされされている。そのため、授業ではグループ学習を取り入れたり、プレゼンテーションを取り入れたりしている教員が多い。

しかし、アクティブ・ラーニング的要素を取り入れるとどうしても授業の情報量は少なくなってしまう。昨今のアクティブ・ラーニングが表面的であるという指摘は松下佳代先生の『ディープ・アクティブラーニング』でもされている。そこで、松下先生は外的活動における能動性だけでなく内的活動における能動性も重視した学習が必要であるとしている。

現代社会においては、生きた知識を得て問題解決につながるような知識の応用が図れることを目指すが、学習者に体系的な学問の習得がなければ、きっちりとした問題解決策など生まれるはずはない。そのためには、知識を詰め込む「伝統的な学力」と課題を解決するために必要な思考力などの「新しい学力」の2つが必要であると、齋藤孝氏も『新しい学力 (岩波新書)』の中で述べている。つまり、知識を詰め込むことと、アクティブ・ラーニングは二項対立ではないと。

また、齋藤先生は「これからの大学教育では、授業空間というライブな場をマネジメントし、リードする教育センスが、研究能力の高さとともに求められることになる。単にプレゼンテーションやディスカッション、調べ学習を取り入れているかといった表面的なことではなく、具体的に、学習者の一人ひとりの意識が活性する授業ができているかを見ていかなければならない。二兎を追い、二兎を共に獲得する。もし本当にアクティブな教育現場を実現しようとするならば、そのような難事業に向かうのだという覚悟を持って取り組む必要があるだろう。」と述べている。

齋藤先生自身は実施されているようであるが、そのように知識を習得させることと知識を活用させることの両方を身につけさせることは、いろいろな準備も多く必要な能力も色々必要である。現場の教員は実際その難しさに悩んでいる。 

 

新しい学力 (岩波新書)

新しい学力 (岩波新書)

 

 

ディープ・アクティブラーニング

ディープ・アクティブラーニング