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四国の外国人観光客大幅増加との報道がありましたが…

四国の外国人個人観光客が大幅増加との報道があった。前年度に比べ大幅な増加であり、景気のいい話である。

確かに道後温泉周辺でも外国人観光客の姿をよく見かける。授業でも愛媛は観光で賑わっているという意見だった。 

 

しかし、観光庁「宿泊旅行統計」によると、愛媛県の外国人観光客延宿泊数(2015年)は10万人余りで38位だった。四国では香川県が最も多く21万人で27位、高知県も6.5万人で42位、徳島県は6万人弱で44位と四国は軒並み順位が低かった。

なんと、四国4県合計は合計44万1550人で和歌山県(434630人)より多いが滋賀県(477250人)より少ない程度であった。和歌山県高野山があるし熊野古道世界遺産なので外国人が多い理由がわかるが、滋賀県は京都に泊まれない人が滋賀に流れてくるのだろうか?

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このグラフを授業で見せたら学生の反応は、愛媛は観光資源もいっぱいあるし、外国人は以前よりも見かけるし、信じられないという意見であった。確かに、愛媛でも外国人観光客は増えているのだろうが、他所はもっと増えているということだろう。

 

四国は製造業の立地上のアドバンテージもないし、都市型サービス業には人口密度が足りないし、観光業こそ地域振興の弾となるとは思う。

四国遍路は世界遺産を目指しているが、巡礼の道が産業道路では興ざめである。石手寺の和尚さんは、巡礼が優先でありお遍路が世界遺産になって物見遊山の人が多く来ることには否定的と学生が発表していた。

 

この調査も外国人延宿泊者数と数(量)を追っている。以前のブログでも書いたように

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論でも、数ではなく質‐客単価の高い外国人の市場を開拓した方がよいとの提案があった。

四国も他所にないもの発掘し、売り出す必要があろう。四国の優位性は後進性である。癒しとかスピリチュアルなものとか自然とか賑わいの少ないことがメリットとなりえる。後進性を徹底的に磨いていくことが必要であろう。

 

国を挙げて観光による外貨稼ぎが目標とされているが、1980年代には観光なんて注目されていなかった。それは、日本の隅々まで良さが見直されていると捉えるべきか、電機産業もつぶれて他に外貨の稼げる産業がないからと捉えるべきなのか。