アイントホーフェンのオープンイノベーションの取組みについて発表してきました。
本日、愛媛大学で中四国都市学会がありまして、昨秋調査しましたオランダのアイントホーフェンの事例を発表しました。
要旨は下記の通りです。将来的には論文にまとめられたらいいなと考えております。
【要旨】オランダのアインホーフェン市はかつて電機メーカーのフィリップス社の企業城下町として繁栄を享受した。しかし、1980~90年代の事業のリストラ、本社のアムステルダムへの移転などにより市経済は苦境に陥った。
そのような危機をバネに、市は単独企業に依存しない新たな都市空間を構築した。その都市の変革には3つのポイントがある。
第1にオープン・イノベーションをコンセプトにフィリップス社用地を解放し、多様な企業の立地を促進している。
第2に自治体だけでなく産学官が連携したガバナンス体制を構築し、効果的なマネジメントを行っている。
第3に新しい投資や人材を獲得するための強力なブランド展開を行っている、点があげられる。
都市の変容は、物理的空間として施設群の改変を図るだけではなく、併せて空間を構成する企業や人を刷新するための様々なマネジメントが展開されたうえでなされるものである。
科学技術知をもとにしたイノベーション創出の試み
統合的な知の創造:『フンボルトの冒険』著アンドレア・ウルフ
19世紀のプロイセンの自然地理学者アレクサンダー・フォン・フンボルトの生涯を描いた『フンボルトの冒険』(2016)を読みました。ヴィルヘルムというお兄さんがいて、からはフンボルト大学を創設した人というのは知っていたが、弟のアレクサンダーの生涯については地理学者ということ以外具体的には何も知りませんでした。
この本は19世紀前半の偉人たちを結び付けて、アレクサンダー・フォン・フンボルトの果たした役割と、ナポレオンからフランス革命、アメリカ南北戦争につながる同時代の大きな変化を活き活きと描いている。
まず、ゲーテとのつながりであるが、ゲーテがいなければフンボルトの科学の詩的な視点は獲得できなかっただろうし、その結果、彼が著わした本の影響もそれほど大きなものとならなかったであろう。
フンボルトは、ダーウィンとも接点があり、のちの進化論にも大きな影響を与えているし、ヘンリー・デイヴィッド・ソローの自然観にもつながっている。著者はフンボルトを現在のサステイナブルな自然観の生みの親としている。
彼の影響は政治的にも大きく、シモン・ボリバルとのつながりとラテンアメリカの独立闘争、トーマス・ジェファーソンとの交流も描かれている。
その他に、ロシア遠征ではプーシキンと接点があり、イギリスではイザムバード・キングダム・ブルネルとの交流を楽しんでいる。
彼の学問は自然地理学であるが、未開地の探検による事実の発見でとどまることなく、自然への理解と深い考察が素晴らしく、現代の細分化された学問に対するアンチテーゼとして彼の統合的な学問の構築へのアプローチは見直されるべきものであると、著者は言いたいのであろう。
歴史書は出来事の羅列を記していることが多いが、これは、それにとどまることなく彼の世界観の構築とそれの与えた影響を同時代人のつながりを通して示している。とても躍動感のある歴史書である。
長野県南信地域での企業の技術開発に関する調査結果が公表されました。
信州大学経営大学院が発刊している「イノベーション・マネジメント研究」2016年 No.12 に信州大学の松岡浩仁准教授との共同研究「長野県南信地域における企業の技術開発に関するアンケート調査結果」が公表されました。
今回の調査は、長野県の南信地域(諏訪・岡谷地域、上伊那地域、下伊那地域)の技術開発志向があると思われる企業に対象を絞り込みアンケート調査を行いました。
調査結果の概要としては、調査企業は技術開発において外部機関と積極的に連携を行っていました。企業にとって技術開発上の連携とは公設試や大学との産学官連携だけではなくも、企業間の産産連携も積極的に行われていました。
産産連携における相手先企業のタイプは今まで明らかになることが少なかったが、今回の調査によると、技術相談では同業種中小企業、共同研究では他業種中小企業の比率が高く、技術開発と言ってもタイプにより関係企業先の違いが明らかになりました。
南信地域を諏訪・岡谷地域、上伊那地域、下伊那地域の3地域に分けて分析してみると、技術開発の指向性に違いが見られました。
新製品・技術の開発や特許取得などでは諏訪・岡谷地域の企業が盛んでした。諏訪・岡谷地域は企業数も大学や公設試などの施設面において他地域より恵まれているため、企業や官学機関との連携活動に盛んに取り組む企業が他の2地域に比べて多いという特徴がみられました。
「地域における学習概念の再考」という論文が公表されました。
地域活性学会の学会誌『地域活性研究Vol.8』に論文「地域における学習概念の再考」が掲載されました。
地域活性化のために、地域では生涯学習や産学官連携活動などの学習活動が盛んにおこなわれています。地域における学習というコンセプトは決して新しくないですが、地域学習は地域にとって重要であるので、今回改めて取り上げました、。
それは地理学だけではなく、教育学、経営学の視点からも地域学習について検討を行いました。
本稿では長野県飯田市を例に、地域における学習活動の具体的な取組み状況を分析し、地域と学習との関係について考察しました。
飯田市では様々な学習活動が展開されており、地域における学習には、地域コミュニティ内の関係を強化する同質的な学習と、異なる概念を革新的に組み合わせイノベーションのような変化を生み出す学習がありました。
地域における学習は目的ではなく地域を活性化・発展させるための手段であります。地域の学習活動を促進するためには、組織的・性格的に矛盾した要素をもつ学習の違いに配慮し、地域で学習をデザインすることが必要と考えます。
私の、そもそもの学習に関する関心は、失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)に始まります。学習の欠如により適応に失敗したものは滅びると。
そして、学習地域論が組織学習論に適合しないのかどうか検討しています。
今治市の活性化について日経新聞にコメントが掲載されました。
今治市の活性化について3月27日付けの日経新聞に私のコメントが掲載されました。
今治市は、タオルのブランド化に成功し、造船業の製造出荷額は全国一位であり、しまなみ海道のサイクリングは新たな観光客の誘客に成功しているし、岡田武史監督のFC今治はJFLに初参戦するし、岡山理科大学の獣医学部が開設されるし、伊東豊雄先生の建築塾が大三島で行われているし、様々な地域活性化の取組みがされています。このように地域資源に恵まれ、活発に地域活性に取り組んでいる様子は、日本の自治体のなかでも特筆できる存在と言えるのではないでしょうか。
ただ、このように積極的に地域活性の取組みがなされている地域ではあるが、人口減少という将来のトレンドは覆そうにない状況である。
今治の造船業にはベトナム人をはじめとして多くの外国人実習生が働いている。その人達を正式にきっちりと市民として処遇してあげることも、人口減少を止める一つの方策ではないかというのが私の一つの考えである。
日本全国で人口減少を食い止めるため、様々な政策が提供されている。しかし、外国人の受入については全く議論がされることがない。日本のコンセンサスとしては外国人の受入を考えないということであろう。しかし、個々の地域については、今、頼りにしている外国人という”地域資源”を肯定的に捉えて良いのではないでしょうか。いまは経済格差もあり日本に来てくれるが、処遇が悪ければいつまでも日本に来てくれるかどうかはわからない。
各地で行われている地域活性化の取組みは、今住んでいる住民がステークホルダーとして現状維持できるような体制を作るということに主眼が置かれている。それ以外の異分子を受け入れてまで無理することもないのでは、それでだめなら上野千鶴子氏のいう”平等に貧しくなろう”で良いのではないか、ということであろう。
それで本当にいいのであろうか。自分たちの子供や孫の代には、日本は特に国際的にも価値のないアジアの辺境の島国となっていようとも。たぶん、それでもいいという精神構造をもった人たちが多いのであろう。
リンカーンに来ました。
リンカーンシャーの中心都市であるリンカーンに行ってきました。
シェフィールドからも、ノッティンガムからも電車で1.5時間程度のところにある人口15万人程度の町です。
町の起源はローマ時代にさかのぼるそうで、町の東にある丘には大聖堂とお城があります。駅の周りはナショナルブランドの店が集まっています。町の中心地から城に向かう坂道が続いていますが、その沿道は個人経営のカフェ・レストランやギャラリーなどが多くあり、店巡りも面白いです。
町は、農業機械から発展し、戦車工場などがあったそうです。シーメンスの工場が駅のそばにありました。1970~80年代頃は製造業を中心とした産業が廃れていたが、大学ができて活気が出てきたそうです。
大聖堂はとても大きく壮言です。中もとっても広いです。
リンカーン大学の卒業式は大聖堂の中で行われるそうです。
城の中にはビクトリア時代の古い刑務所跡や裁判所跡があります。
イギリス国内には4枚しかない「マグナカルタ(大憲章)」が展示しています。
大聖堂とお城があるという点においてはダーラムに似ているでしょう。
リンカーン大学という開学して約20年の大学があります。キャンパスは駅のそばにあります。学生寮がどんどん建てられ、また数学、物理学などの新学部がどんどん作られています。サイエンスパークも作る計画があり、活気があります。工学部の建物はシーメンスが寄付してつくられたそうです。
開学前は、駅周辺の土地は廃墟であり、地価がとても安かったので、大学が作ることができたそうです。シェフィールド大学もそうであるが、大学が土地などを買って、どんどん新しい施設が作られています。
下の写真は古い建物を改装してつくられた大学図書館です。
個人旅行であるなら、ちょっと立ち寄るには面白い町です。
シェフィールドに来ました。Part 2 ハイテク製造業の巻
シェフィールドの近郊にあるAMRC(Advanced Manufacturing Research Centre)に行ってきました。
元々は炭鉱の採石所があったところをサイエンスパークに開発したところに立地しています。
AMRC自体はシェフィールド大学のものですが、ボーイングと共同で運営しています。ボーイングという最終出口が明確なので開発もしやすいでしょう。Airbusも参画しいています。BoeingとAirbusはサプライチェーンの6~7割程度が一緒なので、協調するとことは協調するそうです。
エンジンタービンの製造に関する開発が中心であったのが、現在では、ARMC傘下のもと、原子力、メディカル、金属、鋳造、複合材の開発センターのほかに、職工の訓練センターがあります。
民間企業も集積してきており、Rolls-Royceのほか、多くの企業が集積してきております。最近でもMcLarenがスーパーカーのシャーシ工場の建設を決定したり、Boeing が製造拠点を開設することを公表しております。
ここは成功事例として認識されているようで、AMRCをモデルとして、シェフィールドではAWRC(Advanced Well-being Reseach Centre)として健康福祉研究センターを横展開する予定であるし、イングランド北西地方やウェールズにもAMRCに似た組織を展開する計画があるそうです。
AMRC自体で働くリサーチャーは約600人、職工の訓練生は250人(一年制)いるそうです。
下はエンジン用タービンブレードの写真です。施設には巨大な切削機械が何台も設置してあり、壮観です。企業がすぐに実用化できるようにフルスケールの設備が並べられています。
鉄鋼の町であるので材料に強みがあるのかと思っていましたが、AMRCの強みはMachiningといってました。
Composite Centreも見学しましたが、写真撮影はNG。炭素繊維の複雑な織ができる機械があり、自分たちでかなりカスタマイズしたそうです。大中のオートグレイブもありました。大きなシャフトもCFRPで製造してました。
下の写真はエンジン用ブレードです。どこまで薄くして強度を保てるか試しています。
日本は小っちゃな飛行機もろくに作れず納期延期で、ましてや航空機エンジンも作れないですが、あまり製造業の存在感がないイギリスでも、しっかり最先端の技術を開発しておりました。
シェフィールドに来ました。Part 2 伝統的な刃物産業の巻
昨年の9月に続きシェフィールドにやってきました。
下の写真は町の中心にある市庁舎です。大きな噴水広場があり、人々がくつろいでいます。
Chimoという銀製品の食器製造会社を拝見させていただきました。昔ながらの製法でテーブルウェアを製造していました。下の写真はアメリカの競馬のトロフィーを製造しているところです。職人さんがかっこいいですね(そうでもない人もいました)。
製品に興味がある人はWebにアクセスしてみてください。とてもきれいです。
下の写真は刃物協会のビルです。協会は1642年の議会の協定により設立されたものです。昔の栄華と今に伝えるとても歴史と格式のある建物です。刃物産業はシェフィールドでとても古い産業で、1297年に刃物製造者がいたことが記録として残っているそうです。現在では6~7社程度しか業者は無いとのことです。
建物の中もとてもクラシカルなつくりになっていました。各種会合に貸し出しています。
シェフィールド駅前にあるカフェの壁画です。壁画に描かれている人はステンレス鋼を発明したHarry Brearleyです。ステンレス鋼は1913年にシェフィールドで開発されました。今でも町はずれにあるTATAの製鉄所でつくられているそうです。
刃物産業自体は衰退してますが、シェフィールドの人はモノづくりに対してとても誇りを持っています。
愛大生と考える今治地域の未来に参加してきました。
今治市のみなと交流センター(はーばりー)で「愛大生と考える今治地域の未来」というシンポジウムがあり、スピーカーとして参加してきました。
以前からフィールドに入っている長野県飯田市の取組みについて発表してきました。
今治には来年度に岡山理科大学の獣医学部ができるということなので、それを契機に「学習」による地域活性について取り組んでみては、という提案をしてみました。
飯田市における取組みの詳細については、近日刊行予定の地域活性学会の学会誌に掲載の予定です。
今治市には特徴的な産業があるほかに、しまなみ海道や丹下健三の建物、バリィさん、FC今治、B級グルメなど様々な地域活性化の取組みがあり、今治は注目すべき地域だと思います。
今治駅前には「ようこそ タオルと造船の町 今治へ」と大きな立て看板がありました。2つの産業は今治のアイデンティティになっているといえるのではないでしょうか?
みなと交流センター(はーばりー)の4階は展望フロア―になっており、しまなみ海道もよく見えます。
愛南町に行ってきました。
愛南町にある愛媛大学の南予水産研究センターに行ってきました。もともと小学校だったものを廃校になったので愛媛大学が借りている施設です。
社会共創学部では産業イノベーション学科の海洋コースを選択した生徒が3年生、4年生の2年間を過ごす予定です。
最近話題の”全身トロ”のスマの養殖を行っています。他にも、カタクチイワシやアオリイカの養殖も行っています。アオリイカは市場価格が高いので養殖するのは理解できるが、カタクチイワシは魚のえさ用であり、そのようなものも養殖しなければいけないというほど、日本の沿海では魚が捕れなくなっているのであろう。
愛媛県南部はご存知のようにリアス式海岸であり、入江ではタイや真珠などの養殖がおこなわれています。
松山市からは自動車で3時間程度であり、遠くまで来たという印象を持ちます。
ゆとり教育は生きている?
今週号の週刊東洋経済の特集は”「食える子」を育てる”という特集号であった。ゆとり教育への反発から学力重視派が勢力を増し、最近はアクティブ・ラーニング派というゆとり教育からの流れが主流になっていると図解している。
週刊東洋経済 2017年2/11号 [雑誌](「食える子」を育てる 21世紀の読み・書き・そろばん)
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学力の3つの要素とは学校教育法第30条第2項で以下の3点と定めている。
(1)基礎的・基本的な知識・技能
(2)知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等
(3)主体的に学習に取り組む態度
つまり、学力とはただの知識を詰め込むことではないと。
確かに、知識の詰め込みがなければ、新たな問いや、新たな気づきは生まれない。なので、知識がないものがアクティブ・ラーニングやっても効果はあまりないのではないか。アクティブ・ラーニングは知識があったほうがより学習が活性化する。詰め込み教育は必要であろう。
つまり、学力とは、詰め込み教育とアクティブ・ラーニングの二項対立ではなく、両方が必要であるということである。
イノベーションって何ですか?
「イノベーション」って流行り言葉で多くの人が使っている。1月6日の本ブログ「地域イノベーションって何なのか?」でも取り上げたように、その定義自体で議論が変わってきてしまう。
一橋大学名誉教授の伊丹敬之先生は、本書でイノベーションを「素晴らしい技術を使ってみんなの生活を変えるようなものが提供されること」と定義している。 また、イノベーションのプロセスとして、筋のいい技術、市場への出口、そして社会が動く、これら三つが揃ったらワンセットでイノベーションと呼んでいいと言っている。
そして、イノベーションはその国や地域の文化に根差したものであるとも言っている。確かに、日本にアメリカ型の一発逆転的なイノベーションの創造は難しいであろう。しかし、国の科学技術政策では、大学発のベンチャーつくりを支援し、アメリカのようなラディカルなイノベーションを起こすことを求めている。
デンマークでは、イノベーションとはアメリカ型ではなく、インクリメンタル(漸進的)なイノベーションを追求している。日本はアメリカ型イノベーションを追求しているのでいつまでたってもそれは見果てぬ夢のままなのだろう。
本書は、他にもイノベーションが累積的に発展していく話や、イノベーションの社会的受容性についても言及していて、イノベーションに関する問の立て方が良いと思う。
本書は、イノベーションとは初めて聞いたような学部生にちょうどいいレベルである。
一橋大学の『マネジメントテキスト イノベーション・マネジメント入門』や野城先生の『イノベーション・マネジメント: プロセス・組織の構造化から考える』は修士課程生徒用かなと思います。
高度人材都市ランキング
国別ランクは1位スイス、2位シンガポール、3位英国、4位アメリカ合衆国、5位スウェーデンの順であった。ちなみに日本は21位であった。
今回のレポートでは、都市・地域は人材獲得競争において非常に重要な要素であるということから、国の順位の他に、46の都市の分析をおこない国際的に人材獲得競争力のある都市のランキングも試みに公表されていた。
都市ランクは1位コペンハーゲン、2位チューリッヒ、3位ヘルシンキ、4位サンフランシスコ、5位イェーテボリ、6位マドリッド、7位パリ、8位ロサンゼルス、9位アイントホーフェン、10位ダブリンであった。昨年行ったアイントホーフェンが9位にランクインしていた。東京は調査対象外であった。
このようなランキングは数多くあり、本調査はサンプル数が少ないのでこのランキング自体に大きな価値はない。しかし、この結果から学べることはある。
まず、国際的に人材獲得が競争力向上には必要であり、そのためには都市・地域が非常に重要であるという強い認識である。いかにハイテク系の人材を獲得するかということが国の将来を左右するといっても過言ではない。
次に、大都市圏ばかりが強いわけでもないという事実である。報告書でも指摘してあることだが、パリやマドリッドは国際的なメトロポリスであるが、北欧の都市やアイントホーフェン、ダブリンは40万人都市である。松山市と大して変わりはない。ハイテク産業を育てるのに人口の多寡だけで決まるものではないということである。
また、報告書では、頭脳の定着だけではなく頭脳の循環が見られるとしている。人材を囲い込むというより、出たり入ったりの大きな人の流れが必要であると言える。
国のイノベーション政策は、産学のマッチングやベンチャー創出等行っているが、そのような活動を行う人のための空間政策が必要であろう。そのイノベーションの空間政策を実施・マネジメントできる能力を持った国際的視点を持った地域主体(マネージャー)も必要である。
参考までにこの指数を構成するのにどのような項目を指標として使用しているかを下記に示す。